1.販売職と、技術職・本部職は別の募集です

アパレルの仕事は、デザイン、パターン、縫製、素材、生産、販売と幅が広く、それぞれに固有の技能があります。にもかかわらず、新卒の求人が「アパレル総合職」のひとくくりで出ていることがあります。

この書き方だと、応募してくるのは販売を志望する学生が中心になります。パターンや生産を学んできた学生は、自分の技能が求められているのか判断できないためです。

技術職・本部職を採りたいのであれば、募集を分けてください。「アパレル総合職(入社後に配属を決定)」と書かれた求人に、パタンナー志望の学生が応募する理由がありません。

応募が止まっている場所の切り分け方は、求人媒体を増やしても、新卒の応募が集まらないときでご説明しています。

2.学科が職種ごとに分かれている

ファッション分野の専門学校では、デザイン、パターン、スタイリング、ファッションビジネスなど、職種ごとに学科を用意している学校が多くあります。学生は入学の時点で、進む道をある程度決めています。

つまり、学校を通じて求人を案内してもらう場合、どの学科に案内されるかが、求人票の書き方で決まります。「アパレル総合職」ではパターン系の学科に届きません。

学生が在学中に学んでいる領域には、たとえば次のようなものがあります。

企画・デザイン系デザイン画・企画、素材・テキスタイル、スタイリング
技術系パターンメイキング、縫製・裁断、アパレルCAD
ビジネス系ファッションビジネス、VMD・販売

ただし、扱う範囲は学校・学科によって異なります。学科名だけでは、その学生が何をどこまでできるのかは分かりません。

3.求人票の書き換え例(パタンナー)

見直し前

【職種】アパレル総合職
【仕事内容】商品の企画から生産、販売まで幅広く担当していただきます。
【配属】適性を見て決定します
【応募資格】学歴不問/ファッションに興味のある方

パターンを学んできた学生にとって、この求人に応募する理由がありません。自分の技能が使われるのかどうかが読み取れないためです。

見直し後

【職種】パタンナー(レディース ◯◯ が中心/価格帯 ◯◯)

【1年目に担当すること】
先輩パタンナーの補助から始めます。仕様書の作成、サンプルチェックの記録、修正指示の反映を担当し、半年ほどで小物や定番アイテムのパターンを任せていきます。

【学校で学んだことの活かし方】
パターンメイキングの授業で、製図から仮縫いまでを経験された方。弊社は ◯◯(アパレルCAD)を使用していますが、扱った経験がなくても構いません。手引きのパターンを起こした経験があれば、考え方は共通です。グレーディングは入社後にお教えします。

【入社後に教えること】
弊社の仕様書の書き方、工場とのやりとり、定番の型の考え方。アパレルCADの操作。

【選考で伺うこと】
在学中に制作した作品を1点、パターンと合わせて拝見します。どの工程をご自身で手がけたかをお聞かせください。作品の持参が難しい場合は、写真でも構いません。

4.求人票の書き換え例(生産管理)

生産管理・品質管理は、学生にとって仕事の中身が見えにくい職種です。何をする仕事なのかを書くところから始めてください。

見直し後の例

【職種】生産管理(国内 ◯ 工場、海外 ◯ 工場との進行管理)

【どんな仕事か】
デザイナーが描いた図案と、パタンナーが起こしたパターンを、決めた納期と価格で形にするのが生産管理です。工場との進行管理、仕様や納期の調整、検品を担当します。

【1年目に担当すること】
先輩の担当する品番の進行を一緒に追います。工場への発注書作成、納期の確認連絡、上がってきたサンプルの検品記録から始めます。

【学校で学んだことの活かし方】
縫製の工程を知っていることが、この仕事では大きく効きます。「なぜこの仕様だとコストが上がるのか」「なぜこの納期では無理があるのか」を、工程が分かっていれば具体的に話せます。縫製・裁断の授業を履修された方、ご自身で1着仕上げた経験のある方に向いています。

【入社後に教えること】
弊社の発注の流れ、原価の考え方、工場ごとの得手不得手、検品の基準。

生産管理の求人で、縫製の経験が活きると書いてあるものは多くありません。書いてあれば、縫製系の学科に案内される可能性が変わります。

5.作品を見るときに確認すること

この分野は、学んだ成果が作品という目に見える形で残ります。選考の前に力量を確かめやすい分野です。

ただし、作品の完成度だけで判断すると読み違えます。次を確認してください。

  • どの工程を自分で手がけたか——デザイン、パターン、縫製のどこまでか
  • ひとりで仕上げたのか、分担したのか
  • 使った素材と仕様——素材の選定理由を聞くと、考え方が分かります
  • やり直した箇所——製図、裁断、縫製、仮縫いと、手を動かす工程では、やり直しを重ねた経験を持つ学生もいます。どこをどう直したかを聞いてください

作品を見る際の質問の組み立て方は、デザイン職の新卒採用で、ポートフォリオのどこを見るかもあわせてご覧ください。

6.学科に何を確認すればよいか

  • 学科が職種別に分かれているか——パターン系、デザイン系、ビジネス系のどれがあるか
  • アパレルCADを扱っているか——扱っていれば、どのソフトか
  • 1着を仕上げる課題があるか——製図から縫製まで通す経験の有無
  • 作品の制作時期——卒業制作の時期と選考が重なっていないか

なお、専門学校生は在学期間が短く、授業や実習との両立も必要なため、就職活動に使える時間は限られます。この事情は企業向けサービスのページでご説明しています。

7.最初の一歩

  1. 「アパレル総合職」をやめ、職種ごとに募集を分ける(第1章)
  2. 1年目に担当することを、職種ごとに書き出す(第3・4章)
  3. どの授業が活きるかを書く。CADや設備が違っても構わないなら、そう書く(第3章)
  4. 作品の見方を決めて、選考で伺うことを求人票に書く(第5章)

評価するときは、応募数だけでなく、パターンや縫製を学んできた学生と実際に会えたかを見てください。販売志望の学生ばかりが来るのであれば、求人票の職種名から見直す段階です。