1.条件を並べるだけでは、園の違いが伝わらない

保育士の新卒求人は、給与、休日、賞与、手当といった条件が並ぶ形になりがちです。学生も条件は見ますが、条件だけで並べられると、どの園も同じに見えます。そうなると、最後は通いやすさと金額で決まります。

ここで効いてくるのが、園の違いを言葉にできているかです。0〜2歳が中心なのか、幼児が中心なのか。行事に力を入れているのか、日々の保育を厚くしているのか。1年目に担任を持つのか、副担任から始めるのか。これらは園によって違うのに、求人票に書かれていないことが少なくありません。

応募が止まっている場所の切り分け方は、求人媒体を増やしても、新卒の応募が集まらないときでご説明しています。この記事では、保育士という職種に絞って、求人票の書き方と養成校との接点を扱います。

2.資格の扱いを、求人票でどう書くか

保育の分野では、資格の記載が求人票の入口になります。ここで書き方が曖昧だと、応募を検討する段階で止まってしまいます。

整理しておきたいのは次の点です。

  • 入職時に資格が必要か、取得見込みで応募できるか——新卒採用では「卒業時に取得見込み」での応募を受けるかどうかを明記します
  • 幼稚園教諭免許の扱い——併有が必須か、歓迎か、不要か。認定こども園では扱いが変わります
  • 取得できる資格や時期は、学校・学科によって異なります——学科名だけで判断せず、確認のうえで進めてください

「保育士資格をお持ちの方」とだけ書くと、取得見込みの学生が応募してよいのか判断できません。新卒を採りたいのであれば、取得見込みで応募できる旨を明記してください。これだけで、応募を検討する学生の幅が変わります。

3.求人票の書き換え例

条件だけの求人票を、園の様子が伝わる形に書き換えます。

見直し前

【職種】保育士
【仕事内容】保育業務全般
【応募資格】保育士資格をお持ちの方
【勤務時間】シフト制(7:00〜19:00のうち実働8時間)
【待遇】昇給年1回、賞与年2回、各種手当あり
【休日】週休2日、年間休日◯日

これでは、隣の園との違いが分かりません。学生は条件表だけを見比べることになります。

見直し後

【職種】保育士(0〜5歳児/定員◯名/◯クラス編成)

【1日の流れ】
7:00 順次登園、受け入れと視診 / 9:30 朝の会、設定保育 / 11:30 給食 / 12:30 午睡、その間に連絡帳と記録 / 15:00 おやつ、自由遊び / 16:00 順次降園、保護者への引き継ぎ

【1年目に担当すること】
◯歳児クラスの副担任から始めます。担任と2人体制で、日々の保育と記録を担当します。行事は担当を1つ持ち、先輩と一緒に進めます。担任を持つ時期は、ご本人の様子を見ながら相談して決めます。

【応募資格】
保育士資格をお持ちの方、または卒業時に取得見込みの方。幼稚園教諭免許の併有は歓迎しますが、必須ではありません。

【この園の保育】
◯◯を大切にしています。行事は年◯回で、準備は勤務時間内に行う体制にしています。持ち帰りの作業は原則ありません。

【入職後の教育体制】
最初の◯か月は、先輩が担当につきます。記録の書き方や保護者対応は、実際の場面を一緒に振り返りながら覚えていただきます。

変えたのは4点です。

  1. 1日の流れを書いた——実習で現場を見てきた学生ほど、ここを具体的に知りたがります
  2. 1年目の担当範囲を書いた——「保育業務全般」では、入職後の姿が想像できません。担任を持つ時期は、学生が最も気にする点のひとつです
  3. 取得見込みでの応募可否を明記した——新卒採用では必須の情報です
  4. 働き方を書いた——行事の準備時間や持ち帰りの有無は、学生も学校の先生も気にします。書けることがあるなら書いてください

4.実習と採用の関係を、学校に確認する

保育・介護・医療分野の専門学校では、座学と現場実習を組み合わせたカリキュラムが組まれています。保育所や福祉施設などでの実習を設けている学科があり、学生は働く場を実際に見たうえで進路を選んでいます。

ここで、園として確認しておきたいことがあります。

  • 実習の受け入れと、採用の案内をどう扱うか——実習生への求人案内の可否や進め方は、学校によって方針が異なります。自己判断で動かず、学校にご確認ください
  • 実習の時期——実習期間中は、学生は選考に動けません。採用スケジュールを組むときの前提になります
  • 実習先の種別——保育所、認定こども園、施設など、どこで実習しているかによって、学生が持っている現場の像が変わります

実習を受け入れていない園でも、採用ができないわけではありません。ただ、学生が「働く場としての園」をどこで見てきたかは、志望の理由に影響します。実習を受け入れていないのであれば、見学の機会を用意するなど、別の形で現場を見てもらう方法を考えてみてください。

5.学生が不安に思うことを、先に書いておく

この分野の学生は、実習を通して身体的な負担や、人と向き合う難しさにも触れています。理想だけでこの道を選んだわけではない学生がいます。

だからこそ、園の実際を先に書いておくほうが、入職後のずれが小さくなります。書ける範囲で構いません。

配置と人数クラスの人数と担当職員の数。応援に入る職員がいるか
行事の負担年間の行事数、準備をいつ行うか、持ち帰りの有無
記録の方法手書きか、システムか。記録を書く時間を勤務時間内に確保しているか
保護者対応新人がいつから対応するか、先輩の同席があるか
シフト早番・遅番に入り始める時期。土曜出勤の頻度
相談先困ったときに誰に相談するか。面談の機会があるか

好条件だけを並べるより、実際の体制を具体的に書いてあるほうが信頼されます。学生は実習で現場を見ているため、実態とかけ離れた表現には気づきます。

6.養成校への求人案内を始めるときに決めること

保育士養成の学科を持つ専門学校に求人を出す場合、受付の方法も時期も学校ごとに異なります。始める前に、園として次を決めておくとやりとりが早く進みます。

  • 施設の種別と規模——保育所、認定こども園、小規模保育など。定員とクラス編成
  • 1年目に担当してもらうこと——副担任から始めるのか、担任を持つのか
  • 取得見込みでの応募可否、幼稚園教諭免許の扱い
  • 勤務時間とシフトの実際——早番・遅番に入り始める時期を含めて
  • 入職後の教育体制——誰がどのくらいの期間ついてくれるのか
  • 選考の日程と回数——実習期間と重ならない時期を、学校に確認したうえで組みます

数校であれば個別に進められますが、複数校と接点を持とうとすると、採用担当者の工数がまとまって必要になります。採用の専任を置けない園では、ここが続かない理由になりがちです。自園で学校との関係をつくるか、学校と接点のある会社を使うかの分かれ目になります。

なお、専門学校生は在学期間が短く、授業や実習との両立も必要なため、就職活動に使える時間は限られます。この事情は企業向けサービスのページでご説明しています。

7.最初の一歩

  1. 1日の流れを、時刻入りで書き出す(第3章)
  2. 1年目の担当範囲と、担任を持つ時期の考え方を決める(第3章)
  3. 取得見込みでの応募可否を、求人票に明記する(第2章)
  4. 書ける範囲で、配置・行事・記録・シフトの実際を書く(第5章)
  5. 養成校に連絡し、求人の受付方法と実習の時期を確認する(第4章・第6章)

評価するときは、応募数だけでなく、実習で現場を見てきた学生と実際に会えたかを見てください。会えていないのであれば、条件ではなく接点の問題です。