1.辞める理由は、仕事の中身ではないことが多い

この分野を志望する専門学校生は、仕事そのものに強い関心を持って入ってきます。接客が好き、式をつくりたい、旅に関わりたい。動機がはっきりしているぶん、簡単には揺らぎません。

それでも早期に辞める人がいます。理由を聞くと、仕事が嫌になったというより、生活の形が想像と違ったという話が多く出てきます。

  • 希望していた部署ではないところに配属された
  • 土日に休めないことを、頭では知っていたが実感していなかった
  • 早番と遅番が交互に来る生活に、体が慣れなかった
  • 繁忙期の忙しさが、想像していた水準を超えていた

これらに共通するのは、入社前に具体的に伝えていれば、覚悟して入ってこられたという点です。伝えると応募が減るのではないか、という心配は分かります。ただ、伝えずに入った人が半年で辞めるほうが、損失は大きくなります。

この記事でご説明するのは、伝える項目と伝え方です。施設の規模や業態によって実態は大きく異なります。自社の形に置き換えてお読みください。

2.先に伝えるべき、4つのこと

数を絞ります。全部を説明しようとすると、かえって届きません。

項目学生が知りたいことあいまいにすると起きること
配属 どの部署になるのか。いつ決まるのか 希望の部署に入れると思い込んだまま入社する
勤務時間 早番・遅番があるのか。夜勤はあるのか 生活のリズムが想像できず、入社後に体調を崩す
休日 週休何日か。土日はどうなるのか 「休みはある」としか聞いておらず、平日休みの生活に戸惑う
繁忙期 いつが忙しいのか。どのくらい違うのか 最初の繁忙期で心が折れる

この4つは、すでに社内で決まっていることです。新しく作る必要はありません。決まっているのに言語化していないだけ、という状態がほとんどです。

3.配属は、いつ、どう決まるのか

いちばん食い違いが生まれるのがここです。学生の多くは、志望した部署に行けると思っています。フロント、ブライダルの担当、レストラン。学校で学んだ内容とも結びついているので、なおさらです。

ですので、次の3つを言葉にしてください。

  1. 配属が決まるのはいつか 内定時か、入社後の研修を経てか
  2. 何を見て決めるのか 本人の希望、適性、そのときの欠員状況
  3. 希望が通らないことがあるか ある場合は、はっきりそう言う

そのうえで、希望と違う配属になった場合の見通しまで添えられると、受け止め方が変わります。

最初の配属は、そのときの人員の状況で決まります。希望どおりにならないこともあります。ただ、1年目の終わりに面談で希望を聞き直しますし、実際に2年目で異動した人もいます。

複数の施設を運営している会社では、勤務地が変わる可能性も同じように伝えてください。通える範囲かどうかは、学生にとって大きな判断材料です。

4.シフトは、1週間の例で見せる

「シフト制です」と書いても、学生には像が結べません。実際の1週間を、表にして見せてください。

曜日勤務時間帯の例
月早番朝から夕方まで
火早番朝から夕方まで
水休み——
木遅番昼前から夜まで
金遅番昼前から夜まで
土出勤——
日出勤——

実際の時刻は自社のものに置き換えてください。大事なのは、早番と遅番がどう並ぶかです。

あわせて、次の点も聞かれます。先に答えておくと親切です。

  • 早番の翌日に遅番が来ることがあるか 体への影響が大きい並びです
  • 夜勤があるか ある場合、月に何回程度か
  • シフトはいつ決まるか 前月のいつごろ出るのか。予定が立てられるかに関わります
  • 希望は出せるか 月に何日まで出せるか

5.休みの取り方を、生活の言葉で伝える

この業界で土日祝が繁忙になるのは、避けようがありません。それを隠さずに、しかし生活の言葉で伝えてください。

伝わりにくい像が結べる
シフト制、週休2日 休みは平日が中心です。土日はほぼ出勤と考えてください
土日祝の出勤あり 友人と予定を合わせるのは難しくなります。一方で、平日の空いている時間に出かけられます
連休取得可 閑散期であれば、連休を取って旅行に行く人もいます。繁忙期は難しいです

右側は、悪い話を隠していません。それでも印象が違うのは、学生が自分の生活に置き換えられるからです。

ブライダルの場合は、式が土日に集中するという構造をそのまま伝えてください。「この仕事を選ぶとは、そういうことだ」と納得して入ってくる人のほうが、続きます。

6.繁忙期の山を、先に見せておく

1年のなかで、忙しさに波があります。観光地であれば季節、ブライダルであれば式の多い時期。ここを知らずに入ると、最初の山で驚くことになります。

伝えるのは3点です。

  1. いつが忙しいか 月単位で、おおよその時期
  2. どのくらい違うか 勤務時間、休みの取りやすさが、平常時とどう変わるか
  3. 会社としてどう備えているか 人員を増やすのか、業務を絞るのか

3つ目まで言えると、印象がかなり変わります。忙しいことを認めたうえで、放置していないと分かるからです。何も対策を取っていない場合は、無理に言う必要はありません。

入社前に何を伝えるかという話は、映像・放送の新卒採用で、入社前に何を伝えておくかでも扱っています。分野は違いますが、考え方は共通です。

7.いつ、誰が伝えるか

内容が決まったら、伝える場面を設計します。一度に全部ではなく、段階を分けてください。

場面伝えること
求人票 配属先の候補、勤務形態、休日の考え方。ここで隠すと、あとの信頼に響きます
面接 1週間のシフト例。繁忙期の時期。本人の受け止めを確認する
内定後 配属が決まる時期と方法。入社日までの流れ
入社前の面談 実際の配属先。指導役。初日の集合時間と持ち物

誰が伝えるかも決めておいてください。いちばん効くのは、現場の先輩社員です。人事が説明するより、実際にそのシフトで働いている人が話すほうが、信じてもらえます。1〜3年目の社員に同席してもらうだけで、学生の受け取り方が変わります。

まとめると、伝えるのは配属・勤務時間・休日・繁忙期の4つ。伝え方は1週間のシフト例と、生活の言葉。伝える人は現場の先輩。求人票への書き方は専門学校に出す求人票は、何を書けば読まれるか、辞退が出たあとの対応は内定辞退が出たあと、企業ができることをご覧ください。