1.読むのは、学生だけではありません

求人媒体に掲載すれば、その日から学生の目に触れます。学校に出す場合は、そうではありません。

学校に届いた求人票は、まず就職課やキャリアセンターの担当者が読みます。そして内容を確認したうえで、学生に公開したり、該当しそうな学生に直接伝えたりします。

つまり求人票は、2つの役割を同時に持っています。

  • 学生に向けた、仕事の案内
  • 就職担当者に向けた、「どの学科の誰に渡せばよいか」を判断するための資料

後者が抜けていると、そこで止まります。学生の目に触れる前の段階です。応募が来ないのは内容が悪いからではなく、渡す相手を決められなかったからということが起こります。

この記事でご説明するのは、求人票の書き方の考え方です。学校ごとに様式も受付方法も異なります。指定の様式がある場合はそれに従い、書ききれない部分を別紙で補う形になります。実際の運用は、各校にご確認ください。

2.就職担当者は、何を見て判断しているか

就職担当者は、在籍している学生の顔と、学科で教えている内容を知っています。そのうえで求人票を読み、「これはうちの何科の学生に合うか」を考えます。

このとき見られているのは、主に次の点です。

見ている点判断できないと、どうなるか
入社して最初に何をするか 学科の学びとつながるか分からず、勧める根拠が持てない
どんな知識や技能を使うか 「一応みんなに見せておく」扱いになり、個別には勧められない
勤務地と、転勤の有無 通える範囲かどうか分からず、学生に聞かれても答えられない
初任給と、その内訳 他社と比べられず、学生に説明できない
選考の回数と進み方 授業や実習と両立できるか判断できない

逆に言えば、この5つが書かれていれば、就職担当者は動けます。体裁や分量より、この5点が埋まっているかどうかが分かれ目です。

3.仕事内容は、1年目の具体で書く

仕事内容の欄で、いちばん多いのが「幅広い業務をお任せします」という書き方です。会社としては正直なところだと思います。実際、最初はいろいろやってもらうわけですから。

ただ、これを読んだ就職担当者は判断できません。幅広いということは、どの学科でも当てはまるということで、つまりどの学科にも当てはまらないのと同じです。

書き方を変えるだけで、伝わり方が変わります。

伝わりにくい判断しやすい
幅広い業務をお任せします 1年目は〇〇を担当します。2年目以降は本人の希望と適性を見て、△△か□□に進みます
先輩がしっかり教えます 最初の3か月は、担当の先輩に付いて現場を回ります。4か月目から、簡単な案件を1人で担当します
アットホームな職場です 配属予定の部署は8名で、うち20代が3名います。指導役を1名決めています
成長できる環境です 入社1年目に〇〇の資格を取得してもらいます。受験料と講習費は会社が負担します

右側は、どれもすでに社内で決まっていることです。新しく作る必要はありません。決まっているのに書いていない、という状態が多いだけです。

4.「未経験可」が、かえって伝わらない理由

「未経験可」「やる気重視」は、間口を広げるつもりで書かれます。ところが専門学校に出す場合、この言葉は逆の意味で読まれることがあります。

専門学校生は、2年なり3年なり、その分野を学んできています。そこに「未経験可」と書かれていると、こう読めてしまいます。

学んできたことは、この会社では関係ないのだろうか

つまり「誰でもいい」という意味に受け取られるということです。就職担当者としても、専門課程で学んだ学生に勧める理由が見つかりません。

伝えたいのが「実務経験は求めていない」ということであれば、そう書いたうえで、学校で学んだ何を使うのかを添えてください。

実務の経験は求めていません。ただし、図面を読む授業を受けていれば、その知識は入社直後から使います。

職種別の書き分けについては、ITの新卒採用で、「未経験可」だけでは伝わらないことでも扱っています。

5.学科の学びと、どこで接続させるか

ここが、専門学校向けの求人票でいちばん効く部分です。とはいえ、学科のカリキュラムを企業側が細かく知っているわけではありません。

ですので、逆から書いてください。カリキュラムに合わせるのではなく、自社の仕事を分解して並べる。あとは就職担当者が、学科の内容と照らして判断します。

  1. 1年目に使う道具・ソフト・機材を挙げる 名称をそのまま書きます
  2. 1年目に関わる工程を挙げる 全工程ではなく、実際に触る範囲だけ
  3. あると助かる知識を挙げる 必須ではないものも含めて構いません
  4. 逆に、入社後に教えるものを明記する ここが「未経験可」の中身になります

この4つが並んでいれば、就職担当者は「これは〇〇科の学生だ」と判断できます。企業側が学科名を指定する必要はありません。むしろ指定しないほうが、思わぬ学科から適性のある学生が出てくることがあります。

6.聞かれて答えられないと、止まる項目

求人票を出すと、就職担当者から問い合わせが来ることがあります。学生に説明するために、確認しておきたい項目があるからです。

ここで即答できないと、話が一度止まります。出す前に社内で固めておいてください。

聞かれること用意しておく答え
採用予定人数 「若干名」ではなく、想定している人数
初任給の内訳 基本給と手当の区別。固定残業代を含む場合はその時間数
配属先が決まる時期 内定時か、入社後か
転勤の有無と範囲 ある場合は、どのくらいの頻度で、どの範囲か
選考の回数と所要時間 来社が必要な回数も含めて
内定を出す時期 選考開始から、結果連絡までの目安
過去の採用実績 新卒の採用経験があるか。ない場合は、その前提で受け入れ体制を説明

初任給の決め方は専門学校卒の初任給をどう決めるか、選考の組み方は専門学校生の就職活動は、いつ動くのか、面接で何を聞くかは専門学校生の面接で、何を聞けば学びが見えるかで扱っています。

7.出したあとに、やっておくこと

求人票は、出して終わりではありません。学校側での扱いを確認しておくと、次の年が楽になります。

  1. 学生に公開されたかを確認する 提出から公開までに時間がかかることがあります
  2. どの学科に案内されたかを聞く 想定と違っていれば、書き方を直す材料になります
  3. 反応がなかった場合、理由を聞く 条件なのか、書き方なのか、そもそも該当学科がなかったのか
  4. 次年度の受付時期を聞いておく その場で聞けば、来年の逆算ができます

3番は聞きにくいかもしれませんが、ここが一番の情報源です。「条件が他社と比べて低い」のか「仕事内容が想像できない」のかで、直すところがまったく変わります。

求人票を出すことは、学校との関係の入り口でもあります。継続して出している企業は、学内説明会の相談もしやすくなります。学校への最初の連絡については、専門学校の学内説明会に参加するにはをご覧ください。