1.大学生のつもりで動くと、すれ違います

新卒採用の情報は、その多くが大学生を前提に書かれています。解禁の時期、インターンシップの流れ、面接が集中する時期。どれも大学生の話です。

専門学校生は、そこに乗りません。2年制の学科であれば、入学から卒業までが2年しかありません。その間に、専門分野の授業、実習、資格対策、制作が詰まっています。就職活動に使える時間は、大学生ほど自由になりません。

結果として、こういうことが起こります。

  • 「まだ早いだろう」と待っている間に、学校の求人受付が始まっていた
  • 面接の日程を平日の日中で組んだが、授業と重なって調整がつかない
  • 実習期間に連絡したため、学生からの返信が遅れ、他社に決まっていた

この記事でご説明するのは、時期の考え方です。実際の日程は学校・学科ごとに大きく異なるため、具体的な時期は必ず学校にご確認ください。同じ学校でも、学科が違えば実習も制作も別の時期に入ります。

2.学科によって、動きにくい時期が違う

専門学校は「専門学校」でひとくくりにできません。学ぶ内容によって、学生が動きにくい時期がまったく違います。大きく分けると、次の3つの型があります。

型分野の例動きにくい時期企業側で気をつけること
実習が長い 医療、介護、保育、調理 学外での実習期間中。数週間まとまって学校を離れることがあります 実習の日程を先に聞き、その期間を避けて連絡する
制作物がある デザイン、ゲーム・CG、映像、建築 卒業制作や作品展の直前。提出期限に向けて集中します 作品展は企業が学生を知る機会にもなります。時期を聞いておく
資格試験がある 医療系、美容、調理、製菓など 試験の直前期。対策に時間を取られます 合格発表の時期と、内定の扱いを事前に整理しておく

この分類は目安です。同じ分野でも学校やコースによって構成は変わります。ただ、「どの型に近いか」を知っておくだけで、連絡する時期の当たりがつきます。

資格試験がある分野では、内定を出す時点では「取得見込み」の扱いになります。合否が出るのは卒業の直前です。この点をどう扱うかは、選考を始める前に社内で決めておく必要があります。

3.学校を通した求人には、受付の流れがある

求人媒体であれば、掲載すればその日から学生の目に触れます。学校を通す場合は、間に手順が入ります。

  1. 企業が学校に求人票を提出する
  2. 学校が内容を確認する
  3. 学生に公開・掲示される、あるいは就職担当者が該当しそうな学生に伝える

この2番と3番に時間がかかります。提出したその日に学生が見るわけではありません。学校によっては、年度ごとの受付開始時期が決まっていることもあります。

ですので、学校に連絡するときは、次の2つを必ず聞いてください。

  • 求人票はいつから受け付けているか
  • 提出してから、学生に公開されるまでどのくらいか

この2つが分かれば、「いつまでに求人票を用意すればよいか」が逆算できます。学校への連絡の進め方は、専門学校の学内説明会に参加するにはでも扱っています。

4.求人票は、学生より先に学校が読む

ここが、求人媒体との一番大きな違いです。学校を通した求人では、学生が見る前に就職担当者が読みます。そして「この学科のあの学生に合いそうだ」と判断して、学生に勧めます。

つまり求人票は、学生への案内であると同時に、就職担当者への説明資料でもあります。読んだ人が「どの学科の学生に渡せばいいか」を判断できなければ、そこで止まってしまいます。

具体的には、次のような書き方が分かれ目になります。

伝わりにくい書き方判断しやすい書き方
未経験可、やる気重視 入社後3か月は先輩に付いて現場を覚えます。図面を読む授業を受けていれば、その知識を使います
幅広い業務をお任せします 1年目は〇〇を担当します。2年目以降は本人の希望と適性を見て、△△か□□に進みます
アットホームな職場です 同じ部署に20代が3名います。指導役を1名決めています

求人票の書き方そのものは、専門学校に出す求人票は、何を書けば読まれるかで詳しく扱っています。職種ごとの書き分けについては、ITの新卒採用で、「未経験可」だけでは伝わらないこともあわせてご覧ください。

5.選考は、授業と実習を外して組む

専門学校生は、平日の日中は授業に出ています。大学生のように、空きコマで面接に行くという動き方が取りにくい構造です。

そのため、選考の組み方が辞退率に直結します。

つまずきやすい設計変えられること
面接が3回以上あり、その都度来社してもらう 回数を減らす。または1日にまとめて、面談と職場見学を続けて行う
平日の日中しか日程を出せない 夕方以降や、長期休暇の期間に枠を用意する
初回から来社が必須 1回目はオンラインにして、2回目に来てもらう
結果連絡までに2週間かかる 次の連絡がいつになるかを、その場で伝える

回数を減らすと見極めが甘くなる、という懸念はあると思います。その場合は、1回あたりに見る項目を整理して、密度を上げる形になります。辞退が出たあとの対応については、内定辞退が出たあと、企業ができることで扱っています。

6.秋以降に動き出す学生もいます

「もう時期が過ぎた」と考えて、採用活動を止めてしまう企業があります。ただ、専門学校生の場合、後半に動き出す学生が一定数います。

  • 早い時期に活動したが、納得できる先に出会えなかった学生
  • 実習や制作が一段落してから、本格的に動き始めた学生
  • 途中で希望する方向が変わった学生

この時期の学生は、前半に比べて企業を見る目が具体的になっていることがあります。何が合わなかったかを経験しているためです。条件面で競合が少なくなる時期でもあります。

ただし、卒業が近づくほど、学生も学校も判断を急ぎます。連絡から内定までの期間を短くできるかが、この時期に動く場合の条件になります。

7.逆算して、何を決めておくか

学校に連絡すると、就職担当者からは具体的なことを聞かれます。そこで答えられないと、話が先に進みません。連絡する前に、社内で次の項目を固めておいてください。

  1. 募集職種と人数 「若干名」ではなく、何名を想定しているか
  2. 1年目に担当する仕事 学科の学びとどこでつながるか
  3. 初任給と手当 金額の決め方は専門学校卒の初任給をどう決めるかで扱っています
  4. 勤務地と配属 転勤の有無、配属が確定するのはいつか
  5. 応募要件 学歴要件を外すかどうかは「大卒以上」を外すとき、社内をどう通すかをご覧ください
  6. 選考の回数と、1回あたりの所要時間
  7. 内定を出す時期と、回答の期限
  8. 入社後の指導役 誰が見るかを決めておく

このうち3・5・7は、社内の合意に時間がかかりやすい項目です。学校に連絡する日から逆算して、先に着手してください。

時期の話は、結局のところ学校に聞くのが一番早いです。「今年度の求人はいつから受け付けていますか」「御校の学生が動き始めるのはいつごろですか」。この2つを聞くだけで、自社の動き方が決まります。学校ごとに答えは違いますし、年度によっても変わります。