1.2つの作業を、混ぜない

内定辞退の連絡が来たとき、やることは2つあります。この2つは目的も時間軸も違うので、混ぜると、どちらも中途半端になります。

A
辞退への対応
辞退した学生への返答と、原因の確認。次の採用を良くするための作業
B
欠員の補充
採用計画に対して不足した人数をどう埋めるか。今年度の数を満たすための作業

辞退の連絡を受けた直後は、Bに気持ちが向きます。ただ、Aを飛ばすと、来年も同じ理由で辞退されます。Aは30分で終わります。先に済ませてください。

この記事では、AとBを順に扱います。

2.辞退の連絡を受けたときの返し方

まず、引き止めるかどうかを決めます。ここで大事なのは、引き止めるにしても、圧をかけないことです。

  • 学生は、学校の就職担当の先生に相談しています。強い引き止めをすると、その学校からの信頼を失います
  • 1人の学生への対応が、その学校の来年の案内に影響します。「あの会社はやめたほうがいい」と伝わると、母集団ごと失います

連絡を受けたときの返し方の例です。

ご連絡ありがとうございます。承知いたしました。

差し支えなければ、今後のために2点だけ伺えますか。答えにくければ、結構です。

・進まれる先を選ばれた理由として、いちばん大きかったのはどこでしょうか
・弊社の選考のなかで、判断に迷われた点はありましたか

いただいた内容は、来年以降の選考を見直すために使わせていただきます。◯◯さんのご入社先での活躍をお祈りしております。

要点は3つです。先に「承知した」と伝える/答えなくてよいと明示する/何に使うかを言う。この3つがあると、答えてもらえる確率が上がります。

3.原因を確認するときの聞き方

「なぜ辞退したのか」と直接聞いても、本当の理由は出てきません。比較の形で聞くと、具体的な答えが返ってきます。

聞き方分かること
進まれる先を選んだ理由で、いちばん大きかったのはどこですか自社に足りなかった要素(仕事内容・条件・人・通勤など)
弊社の選考で、判断に迷った点はありましたか説明が足りていなかった箇所
内定をお伝えしてから、決めるまでにどのくらい迷われましたか意思決定の期間。フォローの間隔が合っていたか
ご家族や学校の先生には、どのようにご相談されましたか誰が意思決定に関わっているか
もし弊社の◯◯が違っていたら、判断は変わりましたか変えられる要素かどうか

学校の就職担当の先生からも聞けます。学校と連携して採用を進めている場合、先生は学生から直接話を聞いています。企業に言いにくかったことが、先生には伝わっていることがあります。

4.辞退の理由は、3つに分けられる

集まった理由を、次のどれかに分類してください。打つ手が変わります。

分類打つ手
変えられない勤務地、事業内容そのもの、本人の志望分野の変化対象を変える。母集団の設計から見直す
変えられる(時間がかかる)給与水準、休日数、教育体制社内で検討する。今年度には間に合わない
変えられる(すぐに)連絡の間隔、説明の不足、選考の負担、内定後の放置来週から直せる。ここから手をつける

実際に多いのは3つめです。内定を出したあと、入社までのあいだに連絡が空くと、学生の気持ちは動きます。専門学校生は在学期間が短く、卒業までの時間も限られるため、この期間の不安は大きくなりがちです。

入社前に何を伝えるかは、入社前に何を伝えておくかでも扱っています。

5.欠員を補う再募集の進め方

ここからがBの作業です。時期によって、取れる手が変わります。

確認すること判断のポイント
まだ就職先が決まっていない学生はいるか学校の就職担当の先生に聞けば、状況が分かります。時期が遅いほど、媒体より学校経由が現実的です
選考で見送った学生のなかに、再度声をかけられる方はいるか条件が合わなかっただけの場合があります。学校を通じて確認できます
要件を緩めるか緩めるなら、入社後に教える内容が増えます。配属先と合意が要ります
次年度に回すか無理に埋めて早期離職になるより、次年度の設計を前倒しするほうが良い場合があります

年度の後半になるほど、媒体からの応募は期待しにくくなります。まだ決まっていない学生と接点を持っているのは、学校です。この時期は、学校との関係がそのまま採用力になります。

学校との接点のつくり方は、学内説明会に参加するにはでご説明しています。

6.来年のために、記録を残す

辞退はその年で終わりません。次の項目を1枚にまとめて残してください。

  • 辞退の時期——内定通知から何日後か
  • 分類——第4章の3つのどれか
  • 学生が挙げた理由——本人の言葉のまま
  • 学校からの情報——先生に聞けた内容
  • 内定後に取った連絡——回数と間隔
  • 来年変えること——1つでよいので具体的に

3年分たまると、自社の辞退の傾向が見えます。毎年同じ理由が並ぶようであれば、それは採用活動ではなく、条件や体制の問題です。

7.最初の一歩

  1. 辞退の連絡に、第2章の形で返す(圧をかけず、答えなくてよいと伝える)
  2. 第3章の聞き方で、理由を1つ以上集める
  3. 第4章で分類し、「すぐに変えられる」ものから手をつける
  4. 学校の先生に、決まっていない学生の状況を確認する(第5章)
  5. 第6章の6項目を1枚に残す

評価するときは、辞退の数だけでなく、内定通知から辞退までの日数を見てください。日数が長いほど、その間のフォローで変えられた可能性があります。