1.学科が違えば、学んできたことが違う

建築・インテリア系の専門学校には、学科がいくつも並んでいます。建築学科、建築設計科、インテリアデザイン科、建築インテリア科、空間デザイン科。名前は学校によってさまざまです。

名前は違っても、学生が時間を使ってきた中身を見ると、おおまかに図面を描くことに時間を使ってきた人と、現場や納まりに時間を使ってきた人に分かれます。もちろん両方を学ぶ学科もありますし、どちらに重心があるかは学校・学科によって異なります。

ここが、採用側から見えにくい部分です。「建築系の学科」とひとくくりにすると、次のような食い違いが起きます。

  • 設計の課題に打ち込んできた学生に、現場常駐の仕事を説明してしまう
  • 測量や施工を学んできた学生に、意匠の提案を求めてしまう
  • どちらの学生も「自分の募集ではない」と感じて、応募を見送る

この記事でご説明するのは、求人票を分ける考え方です。学科の構成は学校によって大きく異なります。実際の募集にあたっては、学校の就職担当者に学科の内容を確認されることをおすすめします。

2.設計職と施工管理、学生から見た違い

同じ会社の、同じ建物に関わる仕事です。それでも、学生が思い描いている日常はかなり違います。

 設計職施工管理
学校で多く触れてきたもの 図面、模型、プレゼンボード、CAD・CGソフト 施工図、工程表、測量、積算、法規
課題で評価されてきたこと 考えた案が伝わるか。図面と模型で表現できているか 手順を組み立てられるか。数量を正しく拾えるか
想像している働く場所 事務所の机。打ち合わせの場 現場。朝礼、巡回、事務所との往復
入社後に不安なこと 自分の案が通るのか。何年で任せてもらえるのか 職人さんと話せるか。体力が続くか

この表の下2行が、求人票にはほとんど書かれていません。学生が本当に知りたいのはそこなのに、仕事内容の説明だけで終わっている求人票が多いのが実情です。

3.ひとまとめの求人票で、何が起きるか

「設計・施工管理職」としてひとつの求人を出すと、学生側では次のように読まれます。

どちらをやるのか書いていない。たぶん、人が足りないほうに回されるのだろう。設計をやりたくて学校に入ったけれど、この会社だと現場に行くことになりそうだ。

先生に相談すると、こう返ってくることがあります。「この書き方だと、入ってから設計をやれるかは分からないね」。学生はここで応募をやめます。

会社としては「どちらの適性もあるので、本人と相談して決めたい」という、むしろ親切な意図かもしれません。それでも、求人票の段階ではそう読まれません。学生は、まだ会社を信用する材料を持っていないからです。

応募が集まらないときに確認する点は、新卒の応募が集まらないときに、まず見直す3つのことでも扱っています。あわせてご覧ください。

4.求人票を分けるときの、書き分け方

いちばん確実なのは、求人票を2本に分けることです。同じ会社から2本出ていても、学校側は困りません。むしろ、学科ごとに学生へ案内しやすくなります。

分けたうえで、それぞれに次の4点を書いてください。

  1. 1日の流れ 朝から夕方まで、どこで何をしているか
  2. 1年目に任せること 見ているだけなのか、担当を持つのか
  3. 使う道具・ソフト 学校で触れたものと重なるかが分かります
  4. その先の道筋 3年目、5年目に何をしているか

とくに3番目が効きます。学生は、自分が練習してきた道具の名前を探しています。

伝わりにくい像が結べる
CADを使用 意匠図はCADで作図します。学校で使っていたソフトと違っても、入社後の研修で覚えられます
現場管理業務全般 1年目は先輩と2人で1現場を担当します。朝礼、写真撮影、工程表の更新から入ります
将来は設計も可能 施工管理で入社し、3年目から設計に移った社員がいます。社内に実例があります

右側は、特別なことを書いていません。すでに社内で起きていることを、そのまま言葉にしただけです。

5.インテリア系の学科をどう位置づけるか

建築系の求人に、インテリア系の学科の学生が応募してよいのかどうか。ここを書いていない求人票が、とても多いところです。

学生もはっきり分かりません。先生に聞いても「建築学科向けの募集かもしれない」となり、結果として見送られます。

ですので、対象とする学科を具体的に書いてください。

建築系・インテリア系の学科を対象としています。内装の設計・監理が中心のため、インテリアデザイン系の学科で学んだ方も歓迎します。

この一文があるだけで、応募できる学生の範囲が変わります。学校側も案内しやすくなります。

逆に、構造や設備の知識が必須であれば、それもはっきり書いてください。対象を絞ることは、学生にとって不親切ではありません。合わない募集に応募して不採用になるほうが、学生にとっては負担が大きくなります。

6.資格の扱いを、学生の現在地に合わせる

この分野は、資格の話が必ず出てきます。ここで求人票の書き方を誤ると、応募がごっそり減ります。

専門学校の建築系学科には、卒業と同時に二級建築士の受験資格が得られる課程があります。ただし、受験資格が得られることと、在学中に合格していることは別です。卒業時点で有資格者である学生は、多くはありません。

そのため、求人票に「二級建築士」とだけ書いてあると、学生はこう読みます。

資格を持っていないと応募できない。自分はまだ取っていないので、この会社は無理だ。

意図が「入社後に取ってほしい」であれば、そう書いてください。

書き方学生の受け取り方
二級建築士 取得済みでないと応募できない、と読む
二級建築士(入社後の取得を支援します) 今は持っていなくてよい、と分かる
二級建築士の受験資格が得られる学科の方を歓迎します 自分の学科が対象か、先生に確認できる

受験の支援制度があるなら、内容まで書いてください。受験料の負担、講座の費用、試験前の休暇。金額まで書けると、具体性が一段上がります。

資格の取得見込みをどう扱うかは、介護・医療の新卒採用で、資格の取得見込みをどう扱うかでも扱っています。分野は違いますが、考え方は共通です。

7.どちらでもよい場合の、伝え方

実際には、「設計も施工管理も、本人の適性を見て決めたい」という会社も多くあります。その場合も、求人票を1本にまとめる必要はありません。決め方を書けば済みます。

入社後1年間は、設計と現場の両方を経験していただきます。2年目に入る前に面談を行い、本人の希望と適性をふまえて配属を決めます。過去3年では、設計に進んだ人と施工管理に進んだ人がおよそ半々です。

ここまで書いてあれば、学生は迷いません。決まっていないことを隠すのではなく、決め方が決まっていると示す。これだけで印象が変わります。

配属や勤務の形をいつ伝えるかという話は、観光・ホテル・ブライダルの新卒採用で、配属と勤務形態をどう伝えるかでも扱っています。

まとめると、求人票は設計職と施工管理で分けること。それぞれに1日の流れ・1年目の担当・使う道具・その先の道筋を書くこと。対象学科と資格の扱いをはっきりさせること。施工管理で応募が集まらないときの見直しは施工管理の新卒採用で応募が集まらないときに確認すること、求人票全体の書き方は専門学校に出す求人票は、何を書けば読まれるかをご覧ください。