1.学内説明会より、入りやすい場所

専門学校と接点を持ちたい。けれども、学内説明会に出るとなると、資料を用意し、話す内容を決め、日程を押さえる必要があります。社員が1日拘束されることもあります。

その前段として使えるのが、卒業制作展・作品展です。学生が1年、あるいは2年かけて作ったものを並べ、一般に公開する催しです。

 学内説明会卒業制作展・作品展
参加までの手続き 学校への申込み、審査、日程調整 一般公開であれば、申込み不要のこともある
かかる時間 半日〜1日 1〜2時間でも成立する
話す相手 自社に関心のある学生 その場にいる学生、先生、他校の関係者
見えるもの 学生の志望動機、人柄 学生が実際に作ったもの、学科の水準

最後の行が、この場のいちばんの価値です。学科名だけでは分からない「実際に何ができる学生なのか」が、作品を見れば分かります。求人票を書くときの判断材料にもなります。

この記事でご説明するのは、一般的な進め方です。公開の有無、企業の来場を受け入れるかどうか、名刺交換や採用の話をしてよいかは、学校の方針によって異なります。事前にご確認ください。

2.どの分野に、いつ開かれるのか

作品が形になる分野では、多くの学校で何らかの発表の場が設けられています。

  • デザイン系 グラフィック、イラスト、プロダクト。パネルや実物の展示
  • ゲーム・CG系 実際に遊べる形での出展、映像の上映
  • 映像・放送系 上映会の形を取ることが多い分野です
  • 建築・インテリア系 図面と模型の展示
  • ファッション系 ショー形式で行われることもあります
  • 調理・製菓系 作品展示や試食の場が設けられることがあります

時期は、卒業前の時期に集中する傾向があります。ただし、学校・学科によって大きく異なります。年度の途中に中間発表を行う学校もあります。

採用の観点から言えば、卒業直前の展示会で出会う学生は、すでに進路が決まっていることがほとんどです。それでも行く価値があります。理由は7章でご説明します。

3.開催を知る方法

意外と、ここでつまずきます。開催の告知は、学校のWebサイトの奥のほうに載っていることが多いためです。

確実なのは、次の順です。

  1. 学校の就職担当部署に直接聞く 「作品展などはありますか。企業が伺ってもよいでしょうか」で足ります
  2. 学校のWebサイトの「イベント」「お知らせ」を見る 開催の1〜2か月前に出ることが多いところです
  3. 学科のSNSを見る 学科単位で発信している学校では、こちらのほうが早いことがあります

1番目が、結局いちばん早くて確実です。そしてこの連絡自体が、学校との最初の接点になります。求人の話をいきなり切り出すより、入り方として自然です。

はじめてご連絡いたします。株式会社◯◯の△△と申します。
建築・インテリア分野で新卒採用を考えており、学生の方がどのような課題に取り組まれているかを知りたいと思っております。
作品展などを公開されていましたら、伺ってもよろしいでしょうか。

学校への連絡の仕方そのものは、専門学校の学内説明会に参加するには。学校への連絡と準備でご説明しています。

4.行って、何を見るか

作品の出来映えを採点しに行くわけではありません。自社の仕事と、学生の学びがどこで重なるかを見に行きます。

見るところ分かること
展示全体の傾向 その学科が何に重きを置いているか。設計寄りか、制作寄りか
使われている道具・ソフト 自社で使っているものと重なるか。入社後に教える量が見積もれる
完成度の幅 学科の中でどのくらい差があるか。求人票の要件を決める材料になる
制作の過程の展示 ラフやメモが添えてあれば、考え方の進め方が見える

いちばん下が、実は重要です。完成品だけを見ると、器用さの差に目が行きます。過程が見えると、詰まったときにどう動く人かが見えます。入社後に伸びるかどうかは、むしろそちらに表れます。

作品の見方そのものは、デザイン職の新卒採用で、ポートフォリオのどこを見るか、ゲーム・CGの新卒採用で、作品の「どこまでが本人か」を確かめるでも扱っています。

5.学生に、何を聞くか

学生は、自分の作品を説明したくて立っています。聞かれるのを待っています。遠慮なく声をかけてください。

よい質問は、作品そのものから入るものです。

 質問
入り口これは、どういうところから考えはじめたんですか
過程作っているあいだで、いちばん大変だったのはどこですか
判断途中で変えたところはありますか。なぜ変えたんですか
道具これは何で作っているんですか
次もう一度作れるとしたら、どこを直したいですか

最後の質問が、よく効きます。自分の作ったものを自分で評価できる学生かどうかが見えます。

逆に、その場で避けたほうがよいこともあります。

  • その場での選考めいた質問 志望動機や自己PRを求めると、場の性格が変わってしまいます
  • 批評 「ここはこうしたほうがいい」は、求められていなければ不要です
  • 連絡先をその場で求めること 学校によっては禁じています。先に確認してください

この場は、選ぶ場ではなく、知る場です。そのつもりで行くほうが、結果的によい出会いにつながります。

6.先生と話せたら、何を伝えるか

会場には、担当の先生がいることがほとんどです。短い時間でも話せたら、次の3つを伝えてください。

  1. どういう会社か 業種、規模、場所。一言で
  2. どんな仕事をする人を探しているか 職種名ではなく、仕事の中身で
  3. 今日見て、何を感じたか 具体的な作品に触れられると、いちばん伝わります

3番目が効きます。作品を実際に見た人の言葉は、求人票百枚より届きます。

模型の作り込みが、想像していたより細かくて驚きました。弊社は住宅が中心なので、このくらい手を動かしてきた方だと、入ってから早いと思います。

そのうえで、名刺を置いて帰ってください。その年の採用につながらなくても、次の年に求人票を送るときの入り口になります。

学生がいつ動くかという時期の話は、専門学校生の就職活動は、いつ動くのかをご覧ください。展示会の時期と、学生が動く時期は必ずしも一致しません。

7.帰ってから、何をするか

2章で触れたとおり、卒業直前の展示会で会う学生は、多くが進路を決めています。それでも行く価値があるのは、得られるものが「その年の1人」ではないからです。

  • 求人票を書き直せる 学生が実際にできることが分かるので、要件を現実に合わせられます
  • 学校との接点ができる 翌年、求人票を送るときに「作品展に伺った会社です」と言えます
  • 社内を説得する材料になる 「専門学校生は大丈夫か」という社内の懸念に、見てきた人として答えられます

3番目は、とくに大きいところです。社内で新卒採用の話が進まない理由の多くは、誰も実物を見ていないことにあります。写真を数枚撮って(撮影の可否は必ず確認してください)、見てきたことを話すだけで、話の進み方が変わります。

社内の合意形成については、「大卒以上」を外すとき、社内をどう通すかでも扱っています。

そして、帰ったその週のうちに、学校へ短いお礼の連絡を入れてください。これだけで、翌年の連絡が格段に通りやすくなります。

まとめると、卒業制作展は学内説明会より入りやすい、学校との最初の接点です。見るのは作品の出来ではなく、学科の傾向と制作の過程。学生には作品の話から入り、選考めいた質問は避けること。帰ったら求人票の見直しとお礼の連絡まで。求人票の書き方は専門学校に出す求人票は、何を書けば読まれるかをご覧ください。